3 – 茶の湯と侘び寂びの精神
2024.02.13
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INTRODUCTION
堺はかつて「黄金の日日」と謳われたこともあるほど、巨大な勢力を持つ港町だった。しかし、その痕跡はどこにあるのか?南海堺駅に降り立ったときは、その気配を感じ取れないかもしれない。それもそのはず、駅の辺りはかつて海で、埋め立てられ出来た土地なのだ。当時の海岸線、そして港はもっと内陸にあった。
この旅では港町・堺の黄金時代の物語を探しに行こう。堺を舞台に活躍したユニークな偉人たち、知的遊戯を愉しんだ茶の湯、そして輝かしい繁栄の裏に隠された、光が当たらない物語も見えてくるかもしれない。
05|菅原神社の椿の井戸
ザビエル公園を出て、紀州街道沿いに南へ向かう。その途中にある菅原神社にも立ち寄ってみよう。ここには、千利休の師匠・武野紹鴎が愛したと伝えられる椿の井戸がある。
「侘び寂び(わびさび)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。元は和歌に関する言葉で、和歌をたしなんでいた紹鷗によって、そのエッセンスが茶道に持ち込まれたと言われている。
例えば、広い宴会場で歌う時と、家の風呂場で歌う時では、声の出し方を変えるのではないだろうか。紹鷗は四畳半よりも大きな場で行う茶会を「侘敷」、それより小さいものは「寂敷」と分類したそうだ。ちなみに、歌の中で最もインパクトがある部分を「サビ」というが、それはここからきているといわれている。
それぞれに部屋のあつらえを変え、茶器を変え、作法を変える。日本の美意識を表す「侘び寂び」は、ここ堺から始まったのだ。
06|幻の堺幕府
紀州街道沿いに南へ南へ。宿院の交差点で立ち止まり、周りを見渡してほしい。このあたり一帯には、幻の堺幕府があったといわれている。
少し歴史を振り返ろう。黄金の日日が始まる少し前、京都で応仁の乱が起こった。長い大乱の果て、京都の街は荒れ果てた。
さらにその頃、室町幕府では、跡継ぎ争いが勃発。そこで活躍したのが、阿波国のとある武将。
幕府の後継者の一人を擁立し、堺幕府を開いた。しかし、武将は敵方に死に追いやられ、堺幕府はたった5年ほどで終わりを迎える。
ただ、堺幕府もその武将の死も無意味ではなかった。武将の子は父の仇を討ち、さらには将軍家を追い出し、自ら政権を握ることができた。彼は海外貿易にも関心を持ち、キリスト教の布教の許可を出した。さらに、功績をあげた者に対する褒美として茶器を与えたのも、彼が始めたことだと言われている。
※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。
※掲載情報は2024年2月時点のものです。掲載店舗・施設に関する最新の営業時間は各店舗・施設のHPなどでご確認ください。