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大阪まるわかり

海幸・山幸なにわテロワール

大阪湾は、瀬戸内海という日本最大の内海を持つ魚王国

大阪湾は、かつて魚庭と呼ばれるほどに、魚が豊富に獲れました。魚の庭と書いて、なにわと読みます。 それは大阪の別名・浪速の語源だと言われています。鯛に鯖、ハモにタチウオ、鰯に穴子。魚種も多彩な豊かな海でした。中でも、 大阪人は鯛好きで知られており、お祝いの席には尾頭付きの鯛を食膳に供しました。ことに、桜の花の季節に産卵期を迎え赤く色づくのを「桜鯛」と 呼んで珍重しました。旬の鯛は旨くて安い、その上、捨てるところがないと、大阪商人の「始末の心」に叶う魚でもあります。 造りに塩焼き、頭はあら炊きや骨蒸しと、多彩な鯛料理は「鯛百珍料理」として書籍にまとめられ、大阪の食文化のひとつとして残されています。

小魚も豊富で、中でも、小海老の一種・サルエビ(大阪ではジャコエビ、関東ではトビアラと呼ばれる)は、夏の素麺つゆのだしに用いたり、 泉州地域では、水ナスと炊く郷土料理ジャコごうこに使われます。また、けんか祭りの異名をとる岸和田のだんじり祭りには、ワタリガニ、 通称ガザミが欠かせないご馳走。別名「ガニ祭り」と呼ばれるほどです。近代化に伴い一時衰退しましたが、今も、 200種以上の魚介類が毎日水揚げされ、大阪の料理屋・寿司屋で近海ものとして重宝されています。

てっさ・てっちり

日本全国のフグ消費量のうち6割を大阪が占める。大阪湾は魚庭(なにわ)とも別称された魚の宝庫だ。昭和30年代ごろまでは、大阪湾でフグがごっそり捕れた。 ふぐ料理といえば、てっさ(ふぐの刺身)、てっちり(ふぐ鍋)。毒のあるふぐを、当たると死ぬ「鉄砲」に掛けたのが、その名の由来。昔は庶民の味だった。 その後、昭和22年に大阪市条例でフグ食が解禁となる。これを機に、フグを扱う料理屋が一気に増えた。

堺名物 あなご料理

アナゴは、タイやハモとならんで大阪の食文化になくてはならない魚だ。大阪湾ではかつてアナゴの延縄漁が盛んに行われ、 なかでも堺近海のアナゴは有名だった。戦前、堺の出島にはアナゴを専門に扱う加工業者が数多くあり、「穴子屋筋」と呼ばれていた。 大阪では「つけ焼き」を使った箱ずしや押しずし、アナゴ丼、鍋料理、茶碗蒸しなど。つけ焼きのアナゴの頭と焼き豆腐を炊いた「半助豆腐」も おなじみ。また、煮アナゴを握りずしにした「穴子ずし」や「天ぷら」。ゆでたうずらの卵を生のアナゴで巻いて甘辛く煮つけた「なると巻き」。 「肝の塩ゆで」や「肝の佃煮」など多彩な料理がある。マアナゴは大阪から真南に2000km、台湾の遥か東の海域で生まれ、 早春に透明な仔魚が来遊する。8cm位の稚アナゴに変態し、年の暮れには28cm位にまで成長。大きくなればなるほど脂分が増えておいしくなる。 旬は5~6月頃。

関西の味 ハモ

ハモの漁獲高は増えており、大阪湾には春~夏に産卵やエサを求めて来遊。多くは晩秋に外海へともどる。夏の魚として知られるが、 産卵を終えて活発にエサを獲り、脂が乗って味にコクが出る秋~冬も旬。 ハモは沿岸の水深100m 以浅の砂泥底にすみ、夏は浅場で活動する。 肉食性で夜にエサを探すため目が大きく、若い魚は小魚、エビ、カニなどを食べ、大きくなるとイカやタコ、時にはアナゴさえも捕食する。 ハモはウナギ同様、生命力が強く、生きたまま長時間の輸送に耐える。 千日前・道頓堀には活ハモ、ハモしゃぶ、ハモの押し寿司、ハモちりなど、 おいしいハモ料理が味わえる名店がある。

なにわの「お鯛さん」

つやつやした紅色のマダイは「お鯛さん」と親しまれ、大阪人が愛してやまない魚。豊臣秀吉の時代から伝承されてきた、 大阪ならではの活魚の流通の工夫や知恵、技術があるからだ。刺身や鮨はもちろん「鯛茶漬け」などが比較的気楽に楽しめる。

大阪にしかない「なにわ伝統野菜」

江戸時代、「天下の台所」と称された大阪では、人々の日常の際に供される、独特の野菜が多数ありました。ところが、 農地の宅地化や食生活の洋風化が進む中、伝統的な品種が消えていきました。近年、このような伝統ある野菜を見直そうという機運が高まり、 大阪府の肝入りで、「なにわ伝統野菜」の発掘と復活に取り組む生産者が増加しています。2019年現在、大阪府が認証している「なにわ伝統野菜」は 18品目あります。伝統野菜は京野菜が有名ですが、京野菜が宮様に献上するため、美しく上品な味と姿が尊ばれたとすれば、大阪の伝統野菜は、 庶民がひたすら旨いものを求めたので、姿は無骨で味が濃いのが特長です。例えば、玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)は果長約30㎝と長大。 勝間南瓜(こつまなんきん)は、小ぶりですがゴツゴツしており、実は粘っこくねっとりしています。守口大根は細長く、何と180㎝以上になることも。 毛馬胡瓜(けまきゅうり)は歯応えがあり、苦みが強いのが特長です。ほかに、金時人参、大阪しろな、天王寺蕪、田辺大根、芽紫蘇、服部越瓜、鳥飼茄子、 三島独活、吹田慈姑(くわい)、泉州黄玉葱、高山真菜、高山牛蒡、碓井豌豆(うすいえんどう)、難波葱などがあります。

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